ベースコーチによる肉体的援助
打者がホームランを打ち、ベースランニングの途中で三塁コーチとハイタッチをしたことでアウトになってしまったということが過去にありました。
野球規則6.01(a)(8)に、「三塁または一塁のベースコーチが、走者に触れるか、または支えるかして、走者の三塁または一塁への帰塁、あるいはそれらの離塁を、肉体的に援助したと審判員が認めた場合」に、「インターフェア(妨害)」となると定められています。
ホームランの場合、打球がオーバーフェンスをした時点でボールデッドとなっており、ハイタッチは「肉体的援助にあたらない」となります。(2018年10月の秋季高校野球大会で同様の判断が下されています)
しかし、ホームランは打者走者がホームインした後に喜ぶべきであり、相手への敬意にかけるため、日進リーグでは「アウトにはしないが、非推奨」です。
言うまでもありませんが、インプレーでベースコーチが走者に肉体的援助をしてしまった場合、走者はアウトとなります。フェンスの無い球場でランニングホームランしか認められない場合、三塁を回った走者にハイタッチをすると、「肉体的援助」とみなされる可能性があるため、絶対に接触しないようにしましょう。
打順間違い
打順の間違いに気づいた場合について、攻撃側・守備側、どちらかが打順の誤りに気づいたにせよ、本来の打者(正位打者)がカウントを引き継いで打席に立つことになります。ペナルティはありません。
なお、間違えた打者(不正位打者)が打席を完了し、守備側からアピールがあった場合、アウトとなります。この時、例えば6番打者の代わりに7番打者が打ってしまった場合、6番打者がアウトとなり、7番打者が正位打者として再び打席に入ることになります。
攻撃側の場合
例えば6番が正規の打者で、7番打者が間違えて打席に入り、2ボール1ストライクで誤りに気づいた場合、6番打者が2ボール1ストライクで打席を引き継ぎます。
ペナルティは無いため、気づいた時点ですぐに申告した方が良いです。
万一、非正位の7番打者が打撃を完了してしまった場合、守備側に気づかれないことを祈るしかありません。
守備側の場合
守備側も打席の途中で申告することができますが、攻撃側が気づかないのであれば、打席が完了してから申告した方が良いです。なぜなら、打席の結果に関わらず、確実にアウトにできるからです。
ただし、次の打者に対して投球(牽制を含む)をおこなう前までに申告しなければなりません。投球をおこなった後の申告は無効です。
審判の場合
審判が気づいた場合(審判の後ろの記録員を含む)、攻撃側に打順間違いを指摘をしてはいけません。なぜなら、攻撃側への有利な指摘になるからです。
審判は攻撃側・守備側双方に対して公平であるべきであるので、打順違いに気付いたとしても静かに見守りましょう。(親切心で教えてあげてはいけません)
走者がいる場合の処理
非正規の打者の前に走者がいて、間違いに気づくまでの間に進塁した場合(盗塁・ワイルドピッチ・パスボール等)、進塁は認められます。非正規の打者の打撃結果による進塁は認められません。
例えば、一死一塁で非正規の打者が打席に入り、初球にワイルドピッチで二塁へ進塁しました。次の投球で非正規の打者がヒットを放ち、二塁走者は三塁に進塁します。そして、次の打者に1球目を投げる前に守備側が打順間違いアピールをします。
この場合、正規の打者がアウトとなり、打撃結果は無効となるため、二死二塁で試合再開となります。
本件に関する野球規則
本件に関するルールブックの記載は以下の通り。
野球規則6.03(b)「不正位打者の打撃完了前ならば、正位打者は、不正位打者の得たストライクおよびボールのカウントを受け継いで、これに変わって打撃につくことはさしつかえない」
野球規則6.03(b)(1)「打順表に記載されている打者が、その番の時に打たないで、番でない打者(不正位打者)が打撃を完了した(走者となるか、アウトとなった)後、相手方がこの誤りを発見してアピールすれば、正位打者はアウトを宣告される」
野球規則6.03(b)(3)「不正位打者が打撃を完了した時に、守備側チームが”投手の投球”前に球審にアピールすれば、球審は(A)正位打者にアウトを宣告する。(B)不正位打者の打球によるものか、または不正位打者が安打、失策、四球、死球、その他で一塁に進んだことに起因した、すべての進塁および得点を無効とする」
野球規則6.03.b(4)「走者が、不正位打者の打撃中に盗塁、ボーク、冒頭、捕逸などで進塁することは、正規の進塁とみなされる」
野球規則6.03.b(6)「正位打者が、打撃順の誤りを発見されてアウトの宣告を受けた場合には、その正位打者の次の打順の打者が正規の次打者となる」
打者が一塁到達前の後退りNG
※ソフトボール限定のルールです
打者がゴロを打って一塁方向に走り始めてから、自身へのタッチを遅らせるために後ろに退がるのはNGで、一歩でも後ろに退がった時点でアウトとなります。
例えば、一死二塁の場面で打者が一塁ゴロを放ち、一塁へ半分まで進んだとします。一塁手はベースを踏まずに打者にタッチしようとします。打者は走者を進めさせようと一塁手のタッチを遅らせるために後ろに一歩でも退がると、タッチの有無に関係なくアウトです。
打者は3フィートラインを走る
バント等で捕手が捕球して一塁に送球する場合、打者が一塁線上を走ってしまうと送球が打者と重なってしまって、一塁手に危険が及ぶ可能性があります。打者は必ず3フィートラインを走り、捕手・打者・一塁手が一直線上にならないように配慮しましょう。
なお、打者が悪質に一塁手の視界を妨げる場合、守備妨害を取られる可能性があります。(日進リーグ)
オレンジベースの活用
一般的なソフトボールのルールですが、一塁手との接触を防ぐため、打者はオレンジベースを駆け抜けます。しかし、一塁側のファウルゾーンで守備が行われる場合(主に捕手)、野手はファウルゾーンから一塁に送球するため、一塁手はオレンジベースを使っても良いことになっています。この時、打者は後ろが見えるわけでありませんが、一塁手がオレンジベースで捕球する構えを取った場合、白ベースを駆け抜けるようにしましょう。
滅多に起きるケースではありませんが、以下のような可能性が考えられます。
- ピッチャーライナーを投手が弾いてボールが一塁側ファウルゾーンに転がった場合
- 満塁時の本塁併殺で本塁への送球が一塁側に逸れてしまった場合
- 一塁手がゴロを弾いてファウルゾーンにボールが転がり、二塁手がベースカバーに入る場合
- 捕手が後逸して振り逃げとなり、捕手がファウルゾーンでボールを拾った場合
激しく接触すると大怪我につながる可能性があるため、打者・守備側どちらも無理しすぎないようにしましょう。
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